あなただけを見つめてる。
だけど、その日、向日くんが学校に来ることはなかった。
たまたま、土屋くんが他の友達に話しているのを聞いてしまったんだけど、どうやら向日くんは熱を出してしまったみたい。
昨日はあんな肌寒い中、びしょ濡れだったもんね……。
私はポケットの中にしまっていたスマホを取り出して、ラインのトーク画面を開く。
【向日くん、大丈夫?】
そう入れようとして、すぐにその文を消した。
私、何やってるんだろう。
思わず向日くんにラインしようとしちゃうなんて……。
自分から向日くんにあんなことを言っておきながら、ラインなんて送れるはずないのに。
私はギュッと強く唇をかんだ。
だけど、向日くんと話したり、前みたいにラインできないことが、こんなに辛くて、こんなに苦しいなんて……。
あの言葉を告げてしまったことを、今になってものすごく後悔している自分がいた。