あなただけを見つめてる。



私がボーッと考えごとなんかして歩いてたからだ……。



「ごめんなさい!」

「ごめん!大丈夫!?」



それは、ほぼ同時だった。

ペコッと下げた頭を上げると、その相手とバチッと目が合った。



……えっ!!

向日くん──!?



「ほんとごめんな」



向日くんはもう一度私に謝ると、しゃがみこんで散らばった問題集を拾い始めた。

私も一緒に問題集を集め、廊下の隅に積み上げていく。



「はい、これで最後っと」



向日くんはその一番上に最後の問題集を積み上げた。



「ありがとうございました」

「どういたしまして」



お互いしゃがんだまま、至近距離で目が合った。

すると、向日くんはニッと人懐っこい笑顔を向けてくれた。



「……っ!」



思わずドキッとしてしまう。

だって、向日くんて目が大きくて目力もハンパないし。

それに、まつ毛だって長いし、鼻筋がスッと通ってて、改めてよく見るとほんと綺麗な顔立ちをしていて、女の子からモテるのも頷けちゃう。


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