あなただけを見つめてる。


「か、川原さんっ!」



いつの間にっ!?



「葵ちゃんがめずらしく真剣に窓の外を見下ろしてたからどうしたのかな~?って」



そう言いながら、私の横からグラウンドを見下ろす川原さん。


ひゃ~、いつから川原さんに見られてたんだろうっ。


やけにサッカー部のことに詳しくて、前に私が聞いてもいないのに、向日くんと一番仲良しなのは土屋くんだってことや、いろいろな情報を教えてくれたのが川原さんなんだよね。



「さては葵ちゃん、サッカー部を見てたな?」



川原さんはニヤリと笑みを浮かべながら私を見つめる。


……ギクッ!



「ちっ、違う違うっ!ちょっと風にあたりたかっただけだよ……」


「ほんとにぃ~?」


「ほんとだって!」


「ふふ、わかったわかった。そういうことにしておいてあげる」



困ったな。川原さん、超ニヤニヤしてるし。


でも、これ以上否定するとかえって怪しく思われるよね。



──ピーッ!



すると、グラウンドでサッカー部の顧問が笛を吹く音が聞こえた。



“今から15分休憩入っていいぞー!”



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