あなただけを見つめてる。
しかも、その瞬間、ふっと笑ってくれると。
こちらに向かって、片手をあげようとして。
だけど、すぐにその手はおろされた。
「…………」
今のって、私に気付いてくれて手を振ってくれようとしてた?
でも、私があんなこと言っちゃったし、周りいる女子の手前、手を振ることをやめたって感じだよね?
向日くんは何も悪くないのに、私のせいで向日くんにまで気を使わせちゃってるんだ……。
「私、喉乾いちゃったから、なんか飲み物買ってくるね」
「うん、いってらっしゃ~い」
ひとりになりたくて、私は川原さんにそう伝えると2階にある自販機に向かった。