あなただけを見つめてる。



しかも、その瞬間、ふっと笑ってくれると。


こちらに向かって、片手をあげようとして。


だけど、すぐにその手はおろされた。



「…………」



今のって、私に気付いてくれて手を振ってくれようとしてた?


でも、私があんなこと言っちゃったし、周りいる女子の手前、手を振ることをやめたって感じだよね?


向日くんは何も悪くないのに、私のせいで向日くんにまで気を使わせちゃってるんだ……。




「私、喉乾いちゃったから、なんか飲み物買ってくるね」


「うん、いってらっしゃ~い」



ひとりになりたくて、私は川原さんにそう伝えると2階にある自販機に向かった。


< 153 / 299 >

この作品をシェア

pagetop