あなただけを見つめてる。


何飲もうかな……。


自販機の飲み物にひととおり目を通していると、オレンジのパッケージに目が止まった。



「あ、これ……」



前にここで向日くんが宿題を見せたお礼に“俺のオススメだから”とくれたオレンジサイダーだ。


私は自販機に小銭を入れると、迷わずそのボタンを押した。



──ガランガラン!



下の受け取り口から出てきたそれを取り出そうと、しゃがみこんで手を入れると。




「あれ?葉月?」



──ビクッ!



背後から聞き覚えのある声がして、振り向けば。


すぐそこには、向日くんが立っていた。
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