あなただけを見つめてる。


私も自分の分のオレンジサイダーを買うと、向日くんが座っているベンチの端に遠慮がちに腰かけた。



──プシュッ!



ペットボトルの蓋をあけた途端、炭酸が抜ける音がして。


それを喉に流し込むと、さっぱりしたオレンジの香りが口の中に広がって、しゅわしゅわの炭酸がはじけた。



「暑い日に飲むオレンジサイダーは格別にウマイな!」



そう言って、向日くんは嬉しそうに笑った。


オレンジサイダーと向日くん。


ほんとよく似合うな。


向日くんがオレンジサイダーのCMに出たら、絶対この商品ヒットしそう。



「つーか、こんな風に葉月と話すの久しぶりだよな」



こんなに気まずくなってしまったのは、全部私のせい。



「……ごめんね、この前はあんなこと言って」



ずっと謝りたいと思ってた。


今さら謝ったところで遅いけど……。

















< 156 / 299 >

この作品をシェア

pagetop