あなただけを見つめてる。
「付き合ってほしいって、図書室だったの?」
その日の放課後、緑川さんに連れてこられたのは学校の図書室だった。
てっきり、ショッピングとか、ファーストフード店とか、寄り道のお誘いかと……。
「もうすぐテストでしょ?あたし数学苦手だから教えてもらいところがあるの。ここならエアコンも効いてるし」
「なるほど」
そういうことでしたか……。
ちょっぴり残念。
でも、私も緑川さんに教えてもらいたいところがあるし、ひとりで勉強するより効率いいかも!
それに、緑川さんが私を誘ってくれたことには変わりないしね。
私たちは空いている席を探すと、二人隣り合わせに座った。
「ねぇ、緑川さん。ここの問題なんだけど……」
「どれ?」
私は、大嫌いな歴史の教科書をひろげながら、緑川さんと教科書を覗き込んでいると。
「ここ、相席いいかな?」
突然、頭上から聞き覚えのある声がした。