あなただけを見つめてる。



……む、向日くんっ!?



「んあぁ?おめぇー誰だよ?」



黒髭男が眉間にシワを寄せ、向日くんに詰め寄る。


だけど、向日くんは全然動じることもなく、それどころか、見たこともない怖い顔で相手の男を睨みつけている。



「俺の女に手出すなっつってんだよ!」



……っ!!



そう言うと、向日くんは私の肩に回っていた男の手を思いっきり払いのけると、私の腕をグイッと引いて、抱き寄せられた。



「……っ!」



私はびっくりしすぎて瞬きすらできない。


あ!風香はっ!?


そう思って、風香の方を見ると、土屋くんが金髪男から風香をはがしていた。



「チッ!なんだよ、男付きかよ。いこーぜっ」


「あぁ」



チャラ男二人組は、諦めてくれたのか、境内の中へと消えて行った。



「葉月、大丈夫だったか?あいつらになんかされてない?」


「……あ、うん。大丈夫。ありがとう」



向日くんのおかげで助かったよ。


ここで向日くんたちが現れなかったらと思うと身震いがする。

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