あなただけを見つめてる。
「おまえら、いつまで抱き合ってんだよ」
「……!!」
土屋くんから飛んできた言葉にハッとして、私たちは反射的に身体を離した。
きゃー、恥ずかしくてなんか気まずいんですけどっ。
向日くんのことを見れなくて、私は目を泳がす。
「それにしても、葉月さんてメガネはずして髪型変えるだけでだいぶ雰囲気変わるね!つーか、別人レベル?ふだんからそうしてる方が絶対可愛いのに、なんで学校内ではあんな地味……イテテテテっ」
「土屋、あんた失礼すぎ!」
風香が土屋くんの耳たぶを思いっきり引っ張って睨みをきかせているいる。
「違うんだって!俺は、二人とも可愛い!ってことが言いたかったんだよ。だから、男がこんなに可愛い二人を放っておくはずねぇし、またナンパされないためにも葉月さんのことは朝陽に任せて、緑川は俺と手つないどく?」
「はあ!?なんであたしが土屋と手なんかつながなきゃいけないのよっ」
「じゃあ、あの金髪ヤローに肩抱かれる方がいいのかよっ?」
「そういう問題じゃないでしょ」
「そういう問題なんだよっ」
あらら。また二人のじゃれ合いが始まっちゃったよ。
この二人、なんか微笑ましいなぁ。
……えっ?
突然、向日くんにぎゅっと手を繋がれて、びっくりして向日くんのほうに顔をあげると。
「これは、ナンパ防止と迷子防止ってことで」
「……っ!」
「じゃ、いこっか」
驚きとドキドキで、まともに返事すらできない私。
気づけば、なんだかんだで風香と土屋くんも手をつないでるし!
私も向日くんと手をつないだまま、前を歩く風香たちの後ろを歩きはじめた。