あなただけを見つめてる。
~朝陽side~
~朝陽side~
「よっしゃー!」
見事、的を的中させて景品を獲得する権利を得た俺は、その場で思わずガッツポーズ。
「葉月、景品はどれが、」
“どれがいい?”と振り返りながら葉月に聞こうとしたら。
「あれ?葉月は?」
さっきまでいた葉月の姿が見当たらない。
「あ、葵は偶然知り合いに会ったみたいで、それでちょっと話してくるって」
「知り合い?」
いつもポーカーフェイスの緑川が若干動揺して見える。
その様子を見て、なんでかわかんねーけど無性に嫌な胸騒ぎがしてきた。
「葉月はどっち方面に行った?」
「どっちって、たしか、あっちの方に行った気がするけど……」
「ちょっと俺、行ってくるわ!陸、緑川のことよろしく!」
「えっ?向日くん!?」
左右どこを見ても人の山。
この中から葉月を見つけるなんて難しいかもしんないけど。
俺はいてもたってもいられなくて、そしたら勝手に身体が動き出してた。