あなただけを見つめてる。
とりあえず、緑川が指差した方に行ってみるか。
俺は人の波をかき分けながら、前へ前へと進んでいく。
「あれ?向日くん?」
すると、だれかに名前を呼ばれた。
見れば、根本とその友達だった。
「おー、根本たちも来てたんだ?」
「うん。向日くん、ひとり?ってそんなわけないか。誰と来てるの?よかったらあたしたちと一緒に回らない?」
薔薇柄のピンクの派手な浴衣を着た根本が、目をキラキラさせながら俺を見上げている。
「ごめん、俺一緒に来たヤツとはぐれちゃって今探してるトコなんだ。だから、また学校でな!」
俺はそう告げると、足早に根本たちの前から離れ、再び葉月を探すことにした。