あなただけを見つめてる。
つーか、知り合いって女?それとも……
女のカンて言葉はよくきくけど、男のカンてのもあるんだとしたら。
相手は男な気がしてならない。
だから、俺の中で嫌な予感が働いてんのかも。
屋台の並びはこんだけ混雑してるし、いるとすればもっと静かなトコだよな?
まるで探偵にでもなったかのように推理してく俺。
とりあえず、ヒトケのなさそうな神社の方へ行ってみるか。
屋台から一歩離れると、神社の石段で屋台で買ったものを食べてる家族やカップルがいた。
やっぱここにもいない?
半ば、諦めつつも神社の周りを一周してみようと歩いていると。
「今日はこの前会ったときと、また雰囲気が全然違うね」
「……そう、かな」
……これって、葉月の声か?
恐る恐る近づき、神社の影から覗いてみると。
そこにいたのは、向日葵柄の浴衣を着た葉月で。
葉月は、見知らぬ男と石段に座っていた。