あなただけを見つめてる。




【おはよ。今何してる?】



……ラインの送り主は、朝陽くんではなく。



「……鳴海からだ」



夏祭りで二度目の再会をして以来、鳴海からはたびたびこうしてラインが来るようになっていた。



【家でマンガ読んでたよ。鳴海は?】



そう打つと、すぐに返事が届いた。



【外めちゃくちゃ暑いもんな~。じゃあさ、夕方から会って一緒に飯でも食いに行かない?】



「……えっ!今日っ!?」



おもわず身体を起こしながらひとり叫ぶ私。


どうしよう!?


とくに予定もなくて暇してるけど。


鳴海の誘いに断る理由もないけど。



【この前会ったとき、話も中途半端になちゃってたしさ】



既読をつけたまま私がなかなか返事を送れずにいると、私が迷ってることを悟ったかのように鳴海から続けてそう送られてきた。


……中途半端、か。



“俺は、今でもずっと後悔してる”


“あの時は葉月のこと守れなかったけど、今の俺なら……”



鳴海は、私が地味になったのは自分のせいだと思ってる。


だから、せめてもの罪滅ぼしのつもりで、あんなことを言い掛けてたのかな。



【いいよ、何時にどこで待ち合わせする?】



会ってちゃんと鳴海と話そう。

< 190 / 299 >

この作品をシェア

pagetop