あなただけを見つめてる。
「葉月のじゃない?」
鳴海もそれに気付いて、気にかけてくれた。
「あ、うん……」
私は遠慮がちに鞄からスマホを取り出し、画面を見ると。
「……っ、」
名前を見た途端、ドクンと音を立てる鼓動。
……朝陽くんからだ。
【明後日、空いてる?葵に会いたい。】
「…………」
それを見た瞬間、嬉しさがじわっと広がっていく。
「……葉月?どうかした?」
そんな私を、鳴海は心配そうな、不安そうな顔で見ている。
「……なんでもない」
ううん、なんでもなくなんかない。
朝陽くんの一言で、こんなにも動揺してる私がいる。
飛び跳ねたいほど嬉しくて、早く返事を返したくてしかたがない私がいる。
「鳴海。私ね、今、好きな人がいる」