あなただけを見つめてる。


「……やっぱそうなんだ」


「私が勝手に思ってるだけなんだけど」



そう言って私は苦笑いした。



「俺にはそうは見えなかったけど……」



“大変、お待たせしました~!ハンバーグセットとオムライスになりま~す!”



え?鳴海、今なんて言ったの?


料理を運んできてくれた店員さんの高い声で聞き取れなかったよ。



「冷めないうちに食べようぜ」


「……うん、そうだね。いただきます」



それから、鳴海は私に気を使って気まずい空気にならないようにと、学校のことや面白い友達の話をしてくれた。


その声も、体つきも、髪型も変わってしまっても。


その優しい笑顔だけは、私が知ってる鳴海のままだった。


鳴海に好きになってもらえたこと。


好きだと言ってもらえたこと。


それは、私の自信にもつながる。


こんな私を好きになってくれて、ありがとう──。

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