あなただけを見つめてる。
~朝陽side~
~朝陽side~
葉月葵がいつもかけている、黒縁メガネ。
さっき、問題集を拾いながら葉月と至近距離で話してるとき、俺は気付いてしまった。
それは、ふつうのメガネではなく、ダテメガネだということを──。
「あの……、これは……、その……、」
目の前の葉月は、俺の質問にかなり動揺してる様子。
わざわざダテメガネなんてかけてるってことは、意味があってしてるんだろうけど。
きめ細かい真っ白な肌に。
大きな黒目がちのパッチリとした二重の瞳。
くるんとカールした長い睫毛。
鼻筋が通ったシュッとした鼻。
赤みがかった小さい唇。
「わかった」
「え?」
「これは、男よけアイテムなんでしょ」
俺はかけていたダテメガネをはずし、顔の横でそれをひらひらとさせながら自信満々に答えた。