あなただけを見つめてる。
「うわー、外まだあちー」



ファミレスで冷えていた身体は、外に出た瞬間、湿気を帯びた生ぬるい空気に包まれた。


今夜も熱帯夜でとてもじゃないけどエアコンなしでは寝れなさそう~。



「じゃ、帰るか。送ってくよ」


「ありがとう」



帰る方向に歩き出そうとした、そのときだった。



「あれ?もしかして……鳴海?」




突然、前から歩いてきた女の子2人組のひとりが驚いた声でそう言った。


鳴海の知り合いでもいたのかな?


何気なく、私もその女の子の顔を見た次の瞬間。



「……っ!!」



一瞬にして私の顔がひきつる。


心臓がバクバクと鳴りだして、瞬きすらできない。



「……小野寺?」



驚きを含んだ鳴海の声が、さらに私の呼吸を乱していく。



「やっぱ鳴海だったんだー!久しぶりだねー!」



喜びの声をあげるその子は、明るい髪を綺麗に巻いて、メイクもバッチリで、タンクトップにホットパンツを履いて、派手な容姿をしている。


だけど、いくら見た目が変わったからといって私が気づかないはずないよ。












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