あなただけを見つめてる。


「ほら、もうこっちの肉焼けてるぞー!」



朝陽くんがトングで私の紙皿に焼きあがったお肉を乗せてくれた。


バーベキューの準備は、土屋くんのお父さんとお母さんも協力してくれて、網で焼ける状態まで手伝ってくれると、ご両親は私たちに気を使って4人だけにしてくれた。ご両親とも、とても親切で気さくな方でよかった。



「葵、オレンジジュースお変わりは?」


「ありがとう、風香。お願いします」


「葉月ちゃん、野菜も焼けたよー!」


「土屋くん、ありがとう」


「つーか、おまえ葉月ちゃんてなんだよ?」



私のことを“葉月ちゃん”と呼んだ土屋くんに突っ込みを入れたのは朝陽くんだ。



「え?なんか問題ある?」


「……別にねぇけど」


「だって、俺が葉月ちゃんのこと“葵”って呼んだら、朝陽ぜってぇ怒りそうだと思って」


「は!?なんで俺が怒るんだよ?」



あれ?なんか朝陽くん、焦ってる?

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