あなただけを見つめてる。
「へ~ぇ。じゃあ、俺も葉月ちゃんのこと葵って呼んでいいんだ?」
「バカっ!うるせーよっ!そんなくだらねぇことばっか言ってると野菜焦げるぞ」
「ほーら、朝陽、やっぱヤキモチやいてんじゃんか!」
はははって笑う土屋くんの頭を朝陽くんがバシッと叩いた。
「いってー!何すんだよ!暴力反対っ!」
「おまえがバカなことばっか言ってるからだろ」
「なんだよ、照れちゃって。朝陽、おまえほんとそういうとこ可愛いよな」
「あのなぁ、陸」
「まぁまぁまぁまぁ。二人ともそのへんにしたら?せっかくの葵の誕生日なんだから」
「そうだよな、さすが風香!」
「だから、気安く下の名前で呼ばないでっていってるでしょ?」
クリアな夏空の下、みんなの楽しそうな笑い声が響く。
今日はきっと、一生忘れられない誕生日になる予感がした。