あなただけを見つめてる。



「花火、キレーイ!」



普段はクールな風香も、今日はずっと楽しそうにはしゃいで、見てるこっちまで嬉しくなる。


花火はあっという間になくなって、残すは最後のシメにとっておいた線香花火のみとなった。



「誰が一番長く持つか勝負な!」



朝陽くんがそういうと、一人一本ずつ手にした線香花火に火をつけた。


──パチパチパチパチ。


オレンジ色の小さな火花が音を立てる。


できるだけ手を揺らさないように、私は自分の線香花火をじっと見つめていた。


……終わらないで。


このままずっと、時が止まればいいのに……。


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