あなただけを見つめてる。


そんな祈りが通じたのか、私の線香花火が一番長く持った。



「すげーじゃん、葵!」



朝陽くんが喜んでくれる。



「葉月ちゃんの優勝ー!」


「おめでと、葵」



土屋くんも、風香も喜んでくれる。


なのに、私はそれを素直に喜べない。


線香花火って、終わるとなんでこんなにしんみりしちゃうんだろう?



すると、朝陽くんがパンっと両手を叩いて。



「さてと!じゃあ、今日はこのへんでお開きにすっか」



そう明るく笑顔で言った。



「みんな、今日は私のためにありがとう。すっごく楽しかった」



みんなのおかげで、思い出深い最高の誕生日になったよ。


< 221 / 299 >

この作品をシェア

pagetop