あなただけを見つめてる。
はじめの一歩
──翌日。
思い立ったが吉日ってことで、私は朝早くから近所の美容院に来ていた。
「お客様、ここまで髪を伸ばしていらしたのに、本当にそんなに切っちゃっていいんですか?」
担当についてくれた美容師の女性が鏡越しに聞いてくる。
「はい、お願いします」
最初からバッサリと切るつもりで来た私の決意は固かった。
「わかりました。それじゃあ、カットからしますので準備しますね」
「お願いします」
それにしても、美容院に来るなんて何年ぶりだろう?
久しぶりすぎて、緊張しちゃうな……。
鏡に映る私の顔はこわばっていた。