あなただけを見つめてる。


「でも、葵ちゃんはどうして変わりたいって思ったの?キッカケって、やっぱ好きな人だったりする?」



ニヤニヤと笑う美容師さんと鏡越しに目が合って、私は恥ずかしくてはにかんだ。



「あー!やっぱりそうなんだー!葵ちゃん、可愛いなぁ♪」



って、茶化されちゃった。



「いいなぁ。青春だね~♪私も高校生の頃に戻りたいわぁ~♪」



美容師さん、めっちゃテンション上がってる。



「で?葵ちゃんの好きな人はどんな人なの?同じ高校?イケメン?」



すっごい質問責めだし。


それから、恋愛トークで盛り上がってるうちに、というより、美容師さんが自分の高校時代の恋愛話を聞かせてくれているうちに、気付けば背中まであったはずの髪はショートヘアになっていた。



「ここまで切っただけでもだいぶ、いやかなり雰囲気変わるね~♪葵ちゃん、小顔だからショート似合うし!」



ここまで短く切ったのは、人生で初めてかもしれない。


美容師さんが言うように、髪型ひとつでこんなにも雰囲気が変わるんだ。


鏡に映る自分がすごく新鮮だった。


















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