あなただけを見つめてる。


「すごい……。私じゃないみたい……」



ここへくる前の私がどんなだったか、もう思い出せないかも。



「すっごく似合ってて可愛いよ!葵ちゃん、素がいいからモデルさんみたい♪うちのカットモデルをお願いしたいくらいだよ~!」


「ありがとうございます」



すごい。ほんとにすごい。


髪型や髪色を変えるだけで、こんなにもガラリと雰囲気を変えることができるんだ──。



“俺は、葵次第でいくらでも変われるって思う”



そのとき、朝陽くんの言葉が不意に浮かんできた。



「きっと、葵ちゃんが好きな男の子も、葵ちゃんを見た瞬間一目で恋に落ちること間違いなしだよっ♪頑張ってね、葵ちゃん。あたし、葵ちゃんの恋を応援してるから!」


「ありがとうございます」



私は美容師さんにお礼を言ってお店をあとにした。






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