あなただけを見つめてる。



葵には、前々からいつかは昇の話をしたいと思ってた。


それは、もっと俺のことを知ってほしいって思う気持ちからなんだけど。


でも、だからって葵の誕生日にその話をするつもりはなかったんだ。


だけど、あの時、あの瞬間、なんでだろうな。


どうしても葵に聞いてほしいと思った。


そのせいで、せっかくの楽しい誕生日の最後に、葵を泣かせることになってしまったことはほんとに悪いことしたと思ってる。


けど、葵のことが大切だからこそ、一度きりの人生を悔いなく生きて欲しいって。


葵が生まれた日だからこそ、そう伝えたかったんだ。

< 236 / 299 >

この作品をシェア

pagetop