あなただけを見つめてる。

俺の異変に気付いた陸が、横からスマホの画面を覗き込んできた。



【朝陽が会ってくれないなら、あたし死ぬから】



「……はっ！？マジかよっ！？」



陸もそれを見て激しく動揺している。



「桜子ちゃん、まだ朝陽のこと……」



そう、送り主は桜子だった。


別れを切り出したあの日からずっと、桜子からは一方的にラインや電話がきていた。



“朝陽に会いたい”

“朝陽じゃなきゃダメなの”

“悪いところがあるなら直すから”

“もう一度考えなおして？”


そんな内容ばかりのラインが送られてきてたけど、一回でも返信したら桜子に気を持たせることになると思って、俺はずっとラインの返事も返さなかったし、電話にも出ることはなかった。


だけど、それが桜子をもっと追いつめることになってたのか？



「俺、行ってくるわ！」


「朝陽、俺も一緒に行くよ！」


「いや、俺ひとりで行く。ちゃんと納得いくまで話し合ってくる」


「そうか、わかった……けど、なんかあったらすぐ連絡しろよ！？」


「おう！ありがとな、陸。じゃ！」



俺は急いで帰り支度を始め、その足で桜子の自宅まで向かった。