あなただけを見つめてる。


俺の心臓はバクバクいっていた。


“朝陽が会ってくれないなら、あたし死ぬから”



きっと、本気で言ってるわけじゃないはず。


だけど、そんな悲しいこと言わせたのは俺のせいだ。


桜子の自宅前まで来たとき、俺は数か月ぶりに桜子に電話をかけた。



──プルルルル……プルルルルル……



『……もしもし?』



桜子は、すぐに電話に出た。



「俺だけど、今桜子の家の前にいる」


『え?家の前に?』


「会ってちゃんと話がしたい」


『……わかった。今行くから待ってて』



どうやら、桜子は今家の中にいるようだった。


ほんとは、もっと早くにこうしてればよかったんだよな……。


たとえ、何時間、何日、何か月かかったとしても。


ちゃんと面と向かって桜子と話し合わなきゃダメだったんだ。
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