あなただけを見つめてる。
「これ以上、電話やラインをもらっても、桜子がまだ俺のことを思ってくれてても。俺はもう桜子に対して好きな気持ちがない。だから、これから先も、桜子と戻ることは一切ない」
「……っ」
桜子に少しでも期待を持たせないように、俺はきっぱりとそう言い切った。
「だけど、この2年間、ほんと楽しかった。いろいろとありがとうな、桜子」
「……朝陽」
桜子の目に、再びにじむ涙。
「……ごめんね、朝陽。あたし、朝陽の優しさ利用した。朝陽にどうしても会いたくて、最後の手段で死ぬなんてあんなことラインしたの。朝陽なら絶対に来てくれるって思ったから……。本当にごめんなさい……」
「……桜子」
「思ったとおり、朝陽は本当にこうして来てくれた。そんなところも大好きだったよ」
「…………」
桜子は泣きながら微笑んだ。
「今までありがと。バイバイ、朝陽……」
泣かせてゴメン。
たくさん傷つけてゴメン。
けど、わかってくれてありがとう。
最後に笑ってくれてありがとう。
桜子ならきっと、俺よりもっといいヤツが幸せにしてくれるって信じてる。