あなただけを見つめてる。
それから私たちは下駄箱で朝陽くんたちと合流して。
みんなでファーストフード店でお昼ご飯を食べてから駅前のカラオケ屋に移動した。
4月の始業式の日、朝陽くんがクラスメートみんなをカラオケに誘ったあの日のことを思いだすなぁ。
あの時の私は、目立つグループの朝陽くんと同じクラスになって、“最悪”だって思ってたんだよね。
カラオケだって、仲間内で勝手に行ってくれたらいいのにって、そう思ってた。
そんな自分とは正反対の朝陽くんに対して、初めは苦手意識を持っていたけど。
まさか、苦手としていた人のことをこんなにも好きになっちゃうなんて、あの頃は想像もできなかったよ。
「じゃあ、俺からいっきま~すっ!」
と、土屋くん。
ノリがいい歌を選曲するところが土屋くんらしいけど。
見事な音程の外れ具合に、みんな泣くほど大爆笑だった。
トップバッターに歌って盛り上げてくれた土屋くんのおかげか、カラオケは得意じゃないって言っていた風香も綺麗な歌声を聞かせてくれたし。
私も、緊張感がほぐれて歌うことができた。
そして、次は朝陽くんの番だ。