あなただけを見つめてる。
その日の放課後。
文化祭までもう日がないため、私たち3人はさっそく看板作りにとりかかり始めていた。
「希子ちゃん、望ちゃん。一緒に看板作りを引き受けてくれてありがとうね」
私は段ボールをカッターで切りながら、二人に礼を言った。
「あたしこそ、ありがとう」
「え?」
だけど、希子ちゃんの言葉の意味がわからなくて、いったん手を休めて顔を上げると。
「変わろうとしてる葵ちゃん見てたら勇気付けられたっていうか……。あたしまでいい刺激がもらえて、自分も頑張ろうって前向きになれるから」
「……希子ちゃん」
「って、なんかこういうの照れるねっ」
希子ちゃんの顔は真っ赤だったけれど。
「私だって照れるよっ」
希子ちゃんよりも私の方がもっと真っ赤になっているはず。
「でも、そういってもらえると嬉しい。ありがとう」
私が変わろうとすることで、それによって他の誰かの変わるキッカケになれるんだとしたら。
それって、ほんとにほんとにすごいことだ──。