あなただけを見つめてる。




次の瞬間、至近距離で朝陽くんと目が合うと。


朝陽くんはどこか気まずそうに目をそらして。


そのまま行ってしまった。



……どうしよう。


きっと、朝陽くんに鳴海とのことを誤解されちゃったんだ……。


よりによって、こんな手をつないでる写真が朝陽くんの目に触れちゃうなんて。



「……っ」



でも、違うんだよ、朝陽くん。


これには、ワケがあって……。


私は、気が付くと勝手に身体が動いていた。



「葵?どこ行くのっ?」



後ろから風香の焦った声が聞こえた。



「話さなきゃいけない人がいるから行ってくるっ!」



私はそれだけ言うと、また廊下を走り出した。
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