あなただけを見つめてる。
緑川は息を切らせていた。
きっと、ここまで走ってきたんだろう。
「どうした?」
「……誤解、しないであげてっ」
「え?」
「あのプリントに書かれてることなんてでたらめだからっ!」
「…………」
「写真も、あれだけ見たら誤解を招くと思うけど、あたしはあの日の状況を前に葵から聞いてるから知ってる!」
「……緑川」
「だから、葵のことっ……」
緑川から必死さが伝わってくる。
わざわざそれを言うために俺のとこまで来てくれたのか。
葵と緑川は、いい友達関係が築けたんだな。
内心、そのことを喜んでいると。
「朝陽くんっ!」
またひとり、屋上に誰がやってきたかと思えば。
「……葵」