あなただけを見つめてる。
なんとか、一時間の店番も無事に終わり、チョコバナナはその間で大分売ることができたと思う。
「じゃあ、あとは陸と緑川よろしく」
「おー!まかせろっ!」
朝陽くんと土屋くんがハイタッチしている横で、私も風香とバトンタッチ。
「葵、おつかれさま。向日と楽しんできて」
「ありがとう、風香」
そして、私と朝陽くんは在園生と来客者で賑わいを増す校内をふたりで回ることにした。
焼きそばにフランクフルトにから揚げにポテトに、とにかくいっぱい食べた。
「あれ?朝陽じゃん。おまえはいいなぁ。彼女と回れて」
すると、突然、そう声をかけてきたのは、見たことはあるけど名前は知らない男子だった。
というか、私が彼女なんて恐れ多いよっ。
「おー!マサルじゃん。つーか、残念ながら、まだ彼女じゃないから」
……っ!!
「なんだ、そうなの?てっきりおまえらいつも一緒だからとっくに付き合ってんのかと思ってたわ。あはは!じゃーまたな!」
……え?
今、朝陽くん。なんて?
勝手な淡い期待が広がっていって、私はひとりドキドキしていた。