あなただけを見つめてる。
「出場されるみなさんは、舞台裏までお願いします」
更衣室で風香と話していたら、係の生徒が呼びに来た。
「はぁ~~、ほんと緊張するっ!」
急に全身がこわばっていった。
「葵、大きく深呼吸して」
風香に言われたとおり、私は思いっきり空気を吸い込む。
「よしっ!じゃあ行くよっ!」
そう言って、風香は笑顔で私の手を取ってコンテストが行われる体育館へと連れていく。
2学期初日、イメチェンした私が緊張してなかなかクラスに入れなかったときも風香は今と同じように躊躇する私を引っ張ってくれたよね。
「ありがとう、風香」
風香と出会えてほんとによかった。
「なーに言ってんのっ。ほら、向日も待ってるよ」
「うん!」