あなただけを見つめてる。
体育館裏に着くと。
「ここからは出場者の方以外立ち入り禁止なので」
係の生徒にそう言われて。
「じゃあ、葵。私は客席の方で応援してるからね」
「うん」
風香とここで離れなきゃいけないと思った瞬間、急に心細くなってきちゃったよ。
「そんな不安そうな顔しないの。向日も一緒なんだし大丈夫だよ」
「……うん」
「このコンテストに出場することで、きっと葵はまた一回り成長できるはずだから」
「……ありがとう、風香」
そうだよね。
自分を変えたくて。
自分に自信をつけたくて。
そのために、このコンテストに出ようって決めたんだもん。
「いってきます」
「うん、いってらっしゃい!」
風香の笑顔に見送られて、私は舞台裏へと進んで行ったのだった。