あなただけを見つめてる。
ひとり勝手に熱くなった顔を手でパタパタと仰いでいると。
「葉月さん、ちょっといい?」
そう言いながら私の前に現れたのは、根本さんと、根本さんの取り巻きの女子がふたり。
存在そのものに威圧感があって、私は思わず生唾を飲み込む。
私のすぐ隣にいた希子ちゃんと望ちゃんも根本さんたちの登場に動揺してるみたい。
ていうか、こうして根本さんに話しかけられるのって初めてかも。
思い当たるのはさっきのリレーのこと。
やっぱり怒ってるよね……?
「あの、さっきはごめんなさい……」
まだ根本さんに何を言われたわけでもないけど、私は自分から謝った。
「せっかく根本さんが2位でバトンつなげてくれたのに……、」
根本さんがどんな顔をしてるのか見るのが怖くて、私はうつむきながら話す。
「そんなことはどうでもいいの」
「……え?」
リレーのこと、怒ってないのかな?
「それより、傷は?」
「傷?」
「どこ怪我したの?」
根本さんの真意が読めなくて戸惑う私。
……でも、もしかしたら私の傷を心配してくれてる?
「……傷なら大したことないから、大丈夫」
そう答えると。
「なら、どうしてひとりで保健室に行かなかったの?」
「……っ!」