あなただけを見つめてる。
それからすぐに望ちゃんも登校してきて、私の席で3人で話していた。
でも、そろそろ向日くんがくるかもって思ったら、もうそわそわして落ち着かなくて。
「葵ちゃん?聞いてる?」
「え?今なんて言ったの?」
「もぉ~さっきからなんかヘンだよ?どしたの?」
「ごめんごめん、」
希子ちゃんたちの会話も全然耳に入ってこなくて苦笑い。
「私、ちょっとトイレ行ってくるねっ」
逃げるようにしてトイレへ駆け込む私。
トイレの鏡の前に立つと、そこに映るのは黒髪ロングに重い前髪をした、ダテメガネをかけた私。
「…………」
そのとき、
“もっとこんな風に前髪を短くした方が可愛いよ”
そう言って、私の前髪に触れた向日くんのことを思いだした。