あなただけを見つめてる。
「やっと始業式終わったね~!」
体育館での始業式の帰り、私は希子ちゃんと望ちゃんと教室まで歩いていた。
「相変わらず校長の話長かったね」
「ね~。あれなんとかならないかな。私の隣の人なんて平気で寝てたよ」
他愛もない会話をしながらクラスに戻ると、うちのクラスは向日くんたちサッカー部を中心にまたガヤガヤと賑わっていた。
「今日は部活がない貴重な日だから、このあとみんなでカラオケでも行かね?」
サッカー部の一人がそう言うと、それにいち早く乗っかったのは向日くんだった。
「おー!いいね!行く行く!なんなら、クラスの親睦も兼ねて、みんな誘って行っちゃう?」
……ギクッ!
向日くんという人は、なんてことを提案してくれるんだ!
「おーい!みんなー!俺ら、これから駅前のカラオケ行くんだけど、予定ない人は来てよ!みんなで盛り上がろうぜー!」
うわ~。もうこういうノリ私ほんと無理だ……。
仲間内で勝手にやっててくれればいいのに。
“キャー!向日くんたちとカラオケだって!”
“同じクラスになれた特権ってヤツ!?”
“あたしたち、行きまーす!”
朝、私の横で向日くんたちのことをキャーキャー騒いでいた目立つグループの女子たちはカラオケの誘いに大はしゃぎだ。