あなただけを見つめてる。



なんとなくお互いに黙ったまま歩いた帰り道。



「送ってくれてありがとう」



私の家は一軒家で、門の前で向日くんにそう告げると、街灯でぼんやりと見える向日くんを見上げた。



「全然。それより、今日は早く寝ろよ?」


「うん」


「じゃあ、また来週な!」



そう言って、片手をあげて微笑むと。


向日くんは今通ってきた道を戻っていった。



私は向日くんが見えなくなるまでずっと見つめていた。



今日はいろんなことがあった一日だったな……。


複雑な気持ちを抱えながら、私は家に入った。






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