いっぱい好きになってもらうから。
 私アオイとメグ、タツキ、コウタの四人は小学校のときからの幼馴染みだ。四人とも同じ中学、高校に進んだこともあって、社会人になった今でも、ときどき遊んだりご飯を食べに行ったりして仲良くしている。

 なかでもタツキは小学生のときからサッカーをしていて、高校時代はユースチームで活躍し、高校卒業とともに滋賀レイカーズとプロ契約を結んで、今もこうしてレギュラーとして活躍している。残りの三人は大学卒業後、私は地元の病院で医療事務をして、メグは市役所で働き、コウタはサッカーショップを経営しながら少年サッカーチームのコーチをしている。


 後半45分が経過し、ロスタイムは2分。

「頼むぞ、タツキ! 今日でJ1昇格を決めてくれ!」

 コウタが両膝の上で肘をつき、祈るように手を握った。彼の右足はボールをさばきたそうにうずうずと動いている。

「ピーッ、ピーッ、ピーッ」

 北風の吹くピッチに、無情にも試合終了を告げるホイッスルの音が響いた。相手ディフェンスを突破しようとしていたタツキが、がっくりと膝をつき、私もコウタもメグも落胆の声を漏らした。

「あーん、アオイ、ダメだったよー」
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop