ドライアイス
そうこうしている内に駅に到着。


彼はこれから電車、私はバス。


外は大分暗くなっていた。


さすがに夜だから、いくら夏と言えども少し涼しめだ。



「送ってく」


「大丈夫。近いから」



どちらかと言うと、吉澤くんの家の方が遠い。


そう指摘すると、俺は大丈夫だと言う。


いや、私も大丈夫なんだけど。



「まだそんなに暗くないし、心配無用だよ」



私は彼の目をしっかりと見つめて言う。


すると、そんなに言うのならと諦めてくれた。


軽く吐いた溜め息は、気にしない方向で。



「じゃあ帰ったらメールしろよ」


「吉澤くんって、意外に心配性なんだね」


「お前が不安要素の塊だからな」


「それ、大分失礼でしょ」




とまあ、軽い馴れ初めはこれまで。


私たちは互いに手を振り、別れた。




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