ドライアイス
私は仕方なく栞を挟み、本を閉じる。



「食べたいけど、持ってきてくれないよね」


「当たり前でしょ?じゃないとあんた、いつまでも閉じこもるんだから」



おやつがあるというのはただの口実。


いつも何かと理由をつけて、私を部屋から出したがる。


まあ、母の判断は正しい。


声を掛けない限り本をずっと読んでても可笑しくない。


それぐらい今、私は読書が好きだ。



私は母と一緒に部屋を出て、リビングに向かう。


そこは、テレビの音で少し騒がしかった。




< 75 / 105 >

この作品をシェア

pagetop