ドライアイス
「音量、大きくない?」


「そう?普通じゃない?」



会話の相手は私の妹。


妹、透(トオル)


母曰く、一文字の名前に憧れていたらしい。


それ故の私たちの名前だ。



透はつまらなさそうにバラエティー番組を見ながら、今日のおやつらしいパウンドケーキを口に運ぶ。


見た感じ、チョコかな。




「今日ご飯いらないっけ?」



席につくと、母はお皿に同じケーキと紅茶を持ってきてくれた。


ちなみにこの問いは、私へのものじゃない。



「うん。食べてくるから」


「デート?」



透は無言で頷く。


たまに私たちが姉妹なのか疑いたくなる。


透は、休日はひきこもりがちな私とは違い、普段は遊びに行ってばかり。




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