ドライアイス
「でも吉澤くん」


「何」


「色々気遣ってくれるのは嬉しいけど、吉澤くんの行きたいところも行こう?前も言ったじゃない」


「前?」



すると少し俯いて考え込んだ。


考え込んだと言ってもすぐだけど。


すぐに顔を上げ、私の目を見る。




「この間のメールのことか」


「そうそう。初めて遊びに行った時の」



その帰りに送ったメールの文章。



"今度は、私が吉澤くんに付き合うね"



何だかんだ言って、いつも吉澤くんは私の言い分を聞いてくれる。


なら私も吉澤くんの言い分聞かないと。


フェアじゃない。




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