小悪魔的な君


「いいの!もういいの!私の人生きっと
もう終わってるの!このまま辛い辛い言いながら好きでもない仕事で一杯一杯の毎日を過ごす内に30歳になって、若い子達からも本格的にそういう物を見る目で見られるようになって、疲れ切ったおばさんの私は誰の目にも止まる事の無いままいずれは孤独死…」

「いやいやいやっ、話飛びすぎでしょ」

「ううん、そんな事ない!それで思うの、あぁ、私の人生って何だったんだろうって。なんて価値の無い人生なんだって」

「もーうやめなよほら、飲み過ぎだって」

「今だって思うんだからこの先絶望しかないよ。だったらまだなんとか若い今の内に終わりたい。今もうここが終点でいいのに。これ以上先、ただ年老いていくだけの何も無い未来に何の意味が…」

「とりあえず!だったらまずは彼氏を作ろう!」


遮るように琴乃が告げたのは、そんな言葉。まさかの提案。それに私は大きな溜息をついた。


「今まで私がどれだけ振られてきたか分かって言ってる?あの頃はまだ元気も気力もあったけど…今じゃそんなの丸っきり無いし時間もない」

「それを5年前からずっと言ってるからいけない!だからダメなんだよ」

「いやぁ、そうは言われても…」


5年前…あぁもうそんなに経つのか。てか私、そんなに言い続けてるのか。


「まぁまぁ、なんか思いっきり絶望感出してるけどさ、よく考えてみなよ。さっき言ってた孤独死回避の最短ルートって言ったらまずそれでしょ。しかも恋する事で減少中の女性ホルモンをもう一度活性化させて若返りも出来る。仕事以外の時間も相手がいれば強制的に生まれてくる訳だから仕事だけの生活ともおさらば!ほら、一石三鳥!」

「…まぁさ、言ってる意味は分かるけど」
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