小悪魔的な君


……あれ?と。


聞き間違いかなと思うようなセリフが耳に入ってきた。

でも…どうやら、間違えでは無かったらしい。


「そしたらお姉さん、死にたく無くなるよね」


そう言って私にスッと手を伸ばす彼。そんな彼に、彼の手に、私は導かれるように手を伸ばしてーー



***



ーー朝。なのか…昼なのか…


「うぅ…頭痛い…」


目覚めたのは、見慣れた自室のベッドの上。あぁ、頭痛が…顔が…喉が…これは完全に飲み過ぎた。記憶がぼんやりしている。

そして見渡した先、私の目に映ったのはベッドまで続く脱ぎ捨てられた昨日の服達。ここら辺の記憶は正直無い。でも始まりは確認しなくても分かる、玄関だ。

恥ずかしながら、酔って帰ると家に着いた瞬間から服を脱ぎ始めるという絶対に誰にも見せられない、そんなクセが私にはある。

だからこそ、信じたくないと思った。きっと夢だったんだ、そうに違いないと。微かな記憶の中にあるそれは私の完全な夢。きっと夢だった、そうに違いない、だってそんなの…!


…と、その時だ。


ブー、ブー、ブー、


「!、…電話?」


テーブルの上で震えているそれを手に取ると、そこには見知らぬ番号が映し出されている。
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