小悪魔的な君
「……」
記憶が、蘇る。
可笑しい、有り得ない、いや…でも…
「…はい」
恐る恐る、私は電話に出た。すると…
『あ、お姉さん。体調どう?』
「……」
…まさか、そんな。
『二日酔いしてるでしょ、結構酔ってたもんね。だから看病しに行こうかなって、』
「あ、あの!」
聞き覚えのあるその声に、思わず力が入ってしまった。するとそんな私とは正反対に、『何?』と、のんびりした口調で返事があって…いや、何って言うか…
「ゆ…夢じゃ、ないんです…か?」
『そうだよ。よかったね、彼氏出来て』
「え⁈ や、そ、そんな…」
『って事で、開けるねー』
「え?…あ、開ける?」
ーーガチャリ
するとなぜか、勝手に開いた玄関のドア。
「お姉さん、昨日振り」
…なんて、当たり前のような顔をして彼はそこに居た。驚きで目を丸くする私の目の前に現れたのは、正しく昨日出会ったあの子だった。