金曜日は微熱
*金曜日は微熱
ふわふわ、ゆらゆら。
とてもいい気持ちで、私はあたたかい空間をさまよっていた。
だけどその心地よさは、唐突に訪れた振動によってあっさりと打ち砕かれる。
「──みや、小宮(こみや)! いい加減起きろ!」
「ふあ……?」
ぱちりと目を開けると、傍らにはなんだか呆れたような表情をした、比嘉(ひが)課長の姿。
先ほど感じた振動は、どうやら課長が私の肩を揺すっていたらしい。私は目をこすりながら、もたれていた壁から背中を起こした。
ため息をついて、比嘉課長が立ち上がる。
「おまえなあ……よくこんな騒がしいところで、そんな気持ちよさそうに寝られるな」
「……ええっと、他の人たちは……?」
「あいつらならおまえがぐーすか寝てる間に、とっとと二次会に行ったぞ」
「そ、そうでしたか……」
ああ、またやってしまった……。
お酒を飲むと眠くなってしまうタチの自分が、会社の飲み会で眠りこけてしまうのはいつものことで。
だけど置いていかれてしまったのは、さすがに初めてだ。眠気のせいで思うように動かないからだをのろのろ動かして、畳の上のハンドバッグを手に取る。
「えっと、ちなみに比嘉課長は……?」
「俺は二次会行かないで帰るつもりでいたら、『じゃあ小宮は任せます』っておまえを押しつけられた」
「……すみませんです」
そうか、課長は二次会に行かないから、ここに残ることになったのか。
でも、たぶん。比嘉課長が同僚たちから私の世話を押しつけられたのには、きっと他の意図もあって。
とてもいい気持ちで、私はあたたかい空間をさまよっていた。
だけどその心地よさは、唐突に訪れた振動によってあっさりと打ち砕かれる。
「──みや、小宮(こみや)! いい加減起きろ!」
「ふあ……?」
ぱちりと目を開けると、傍らにはなんだか呆れたような表情をした、比嘉(ひが)課長の姿。
先ほど感じた振動は、どうやら課長が私の肩を揺すっていたらしい。私は目をこすりながら、もたれていた壁から背中を起こした。
ため息をついて、比嘉課長が立ち上がる。
「おまえなあ……よくこんな騒がしいところで、そんな気持ちよさそうに寝られるな」
「……ええっと、他の人たちは……?」
「あいつらならおまえがぐーすか寝てる間に、とっとと二次会に行ったぞ」
「そ、そうでしたか……」
ああ、またやってしまった……。
お酒を飲むと眠くなってしまうタチの自分が、会社の飲み会で眠りこけてしまうのはいつものことで。
だけど置いていかれてしまったのは、さすがに初めてだ。眠気のせいで思うように動かないからだをのろのろ動かして、畳の上のハンドバッグを手に取る。
「えっと、ちなみに比嘉課長は……?」
「俺は二次会行かないで帰るつもりでいたら、『じゃあ小宮は任せます』っておまえを押しつけられた」
「……すみませんです」
そうか、課長は二次会に行かないから、ここに残ることになったのか。
でも、たぶん。比嘉課長が同僚たちから私の世話を押しつけられたのには、きっと他の意図もあって。
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