金曜日は微熱
「私、きっと課長には、まるで相手にされてないんだと思ってました。私は7歳も年下だし、かわいい振る舞いなんてできないし、胸だって小さいし」

「………」

「でも、比嘉課長……私の気持ちを知ってて、それでも、家にあげてくれたってことは……私のこと、迷惑ではないって、思ってもいいんですよね?」



そう言って、にこり、笑ってみせる。

対する課長は、なんだかぽかんとした表情で、私のことを見上げていたけれど。



「……ああくそ、」



舌打ち混じりのそんな言葉が聞こえたかと思うと、肩を掴まれてくるりと体勢を変えられて。

気付けば私の背後に壁があって、そんな私を囲うように、課長の両腕。


……えっと、壁ドン、形勢逆転?



「ほんとおまえ、意味わからん。ぼんやりしてて何にも関心なさそうなのに、たまに俺のこと、すごい熱い目で見てくるし」

「………」

「控えめかと思えば、今日みたいに、いきなりぶっ飛んだことすることもあるし」

「……課長、」



そっと、その腕に触れる。

熱があるみたいに頭の中がふわふわしたまま、彼を見上げた。



「課長、すきです。だいすきです」

「──、」



一瞬、息を詰まらせたように動きを止めた課長。

だけど次の瞬間、私は軽々と、彼に抱きかかえられていた。
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