【短編】真夜中のサンキャッチャー
グラスに刺さるストローを意味もなくクルクルと回す。新調した腕時計のバンド、昨日帰りに寄って施したネイル、グレーのウールスカート、ニット。今日のためにお洒落したきた癖に、とグラスの氷に向かってため息を付いた。


夕刻。

会はお開きに。
ひとことも話せずに。

二次会の話をしている横を私は通り過ぎてテラスを後にした。


一人暮らしの部屋に戻る。部屋に着いたときにはもう夜。真っ暗な部屋の中で、窓辺のサンキャッチャーが街灯に照らされて僅かに光った。

サンキャッチャーは自ら光を放つことは出来ない。太陽なり蛍光灯なり、第三者から光を受けなければ輝きを放つことは出来ない受け身の存在なのだ。


そんなサンキャッチャーに私は自分自身を重ねていたのかもしれない。




< 4 / 15 >

この作品をシェア

pagetop